TOP >> せんごく絵日記 >> せんごく絵日記 第一回(明石) / せんごく絵日記 第二回(小早川隆景)


せんごく絵日記 第一回(明石)

せんごく絵日記

吉川のお殿さま――興経さまの侍女、明石(あけいし)が記します。

今日も、厳島神社におつとめ中のましろちゃんが小倉山城に帰ってきてくれました。
最近はお城まで、山道を一人っきり馬で駆けて帰ってくるみたいなのでちょっと心配です。
興経さま仕込みの武芸があって、ふしぎな通力が使えて、女の子なのにすごく強いことは知っているんですけど……。すぐ無茶をするし、時々うっかりしてるから……。

でも俄にお城が賑やかになって――ましろちゃんの養い親の大殿さまも、千さまも、みんな嬉しそう。
ぶっきらぼうに黙っていたけど興経さまだって、本当は機嫌がいいみたい。

でも、もう二年くらい前ですが、ましろちゃんが厳島神社に行ってしまうと聞いたときは、わたしはとってもさびしくて泣いちゃったんです。
……だって、こんなにそっちゅうお城に帰って来てくれるなんて思ってなかったんだもの!

でも、神社のおつとめの方は、大丈夫なのかしら……?



※ましろ……白蓮の愛称。千……興経の息子、千法師。



せんごく絵日記 第二回(小早川隆景)

せんごく絵日記

――備後三原城にて、小早川隆景が記します。

今月、毛利家での会合では『郡山城下できもだめし大会』をする予定でしたが、春兄のかつてない猛反対で変更になりました。いつもこんなことはなかったのですけれど、本気で嫌だったようです。
ふむ。どうやらあの兄上でも、刀で斬れない相手は苦手らしい……。

結局、定例会議を終えてから皆で浅瀬へ海釣りに出かけたのですが――いつのまにか誰が一番大物を釣るかの競争になっていました。
こうなると、海担当の隆景が負けるわけにはまいりません。
(隆兄と父上はちょっと呆れた様子で、積極的には参加してくれませんでした)

一進一退の激しい勝負を繰り広げ、ついに最大の大物を引き当てたのは隆景の釣竿――だったのですが……流石にそのすさまじい引きに苦戦してしまい、見かねた春兄の助力を得る次第となりました。
残念ですが、自力で引き上げられなかったのも事実ですからね。

雪合戦と同様、決着は次の楽しみとしましょうか。兄上。



※春兄……次兄、元春。隆兄……長兄、隆元。


せんごく絵日記 第三回(三好清海入道)